約150人のファンがザールラントハレにつめかけた。夜10時ごろ、マイケルが姿をあらわす直前になると「We Are The
World」のビデオが流れ始める。
TG:ザ・キング・オブ・ポップ!マイケル・ジャクソン!
マイケルが歩いてくる。黒いズボンに、赤い腕章のついた黒ジャケットを着ている。中に白いシャツ、黒いブーツにサングラスという服装。髪は肩にかかるくらいの長さ。割れるような拍手とファンの歓声がしばらく続く。マイケルは、トーマス・ゴットシャルクに会釈をし、背の高いトーマスに感嘆の意を示す。
TG:新たな計画についての話からはじめようか…
二人とも、ソファーに向かって歩いていく。トーマスは座ったが、マイケルがファンに向かって手を振り続けているので、トーマスは再び立ち上がる。ファンの叫び声が続き、しばらく会話が出来ない状態になる。マイケルが微笑む。
TG:えーと…(ファンに)ありがとう。
MJ:(歓声が)とまらないね。
TG:それから…マイケル。みんな僕の言うことを聞いてくれないんだけど…(ファンの歓声が大きく、声が聞き取れない状態が続く)今日、彼は…聞いて…ちょっと、聞いてよ…そこら辺の人!いい加減にしてよ…彼の言うことを一回でも聞いてあげれば、かわいそうなマイケルがハッピーになるよ。もうマイケルは君たちのことを見てるんだよ。みんなマイケルを愛しているんだよね。アンクル・トーマスのことをちょっと考えてあげてよ。僕だって質問したいことがあるんだ。しーっ!ちょっと!静かに…子どもみたいだ。叱っちゃうよ?
MJ:(投げキスをしてファンを指差し、くすくす笑う)そのバナーをちょうだい!欲しいんだ!モリッシュ…あれが欲しいんだよ!
ファンが再び、叫びはじめる。
TG:板ばさみ状態だね。またあの辺のファンがうるさくなってきたみたいだ。オーケー、聞いてよ。この新しい計画についてもうちょっと話したいんだけど…みんなどんなものなのか知らないよね…
誰かがマイケルにバナーを手渡す。バナーには「Children's paradise in
your heart(心の中にある子どものパラダイス)の文字。
TG:彼には新たなプロジェクトがあるんだよ。マイケルはものすごいコンサートを2つも計画しているんだ…ドイツと、韓国でね。
マイケルは、床にバナーを置いて眺めいっている。
TG:マイケル、この新たなプロジェクトのことだけど。どうしてこのことを思いついたんだい?
MJ:えーと…どうやったかって…(マイケルが話し始めると同時にファンが叫びはじめる) …僕は…僕…僕…(歓声が続き、マイケルは話すことが出来なくなる)…えー…
TG:オーケー、話してよ…
MJ:何かはじめなくちゃいけないって思ってたんだ。ただ眺めているだけじゃダメなんだ。分かるよね?この世紀の変わり目に何もしないなんて考えられないよ。こういうことが「What more can
I give」の歌や歌詞に反映されているんだ。何かをやらなきゃいけない…えっと…それでその時に…マンデラ大統領(当時)と話す機会があって、インスピレーションをうけたんだ。(くすくす笑う。ファンの叫び声が再び増して、マイケルは話し続けられなくなる)
TG:(ファンに)分かったから…それについてちょっと話しておくとだね、マイケルはまたネルソン・マンデラ氏に会う予定なんだ。で、このプロジェクトについて話し合う予定なんだって。あとで僕もユネスコ、赤十字の関係者に会うことになってるから、君をサポートしてくれるよう、頼んでおこう。ソウルでは君が招いたパヴァロッティ、スティーヴィー・ワンダー、エロス・ラマゾッティ、それと多分スコーピオンズに会う予定みたいだけど。君たちは一緒にミュンヘンに来るんだよね?楽しみかい?
ファンの割れるような歓声が響いている。トーマスが話している間、マイケルはファンを見ている。トーマスがマイケルの返答を待っているようなそぶりだったので、マイケルは困った様子をする。マイケルはトーマスの質問を聞いていなかった様子。ファンの叫び声が会話をかき消してしまう状態が続いている。
MJ:えっと…そう…そうだね…えー…
言葉に詰まった様子でマイケルは、周りを見渡す。ジョナサン・モリッシュを見つけ、指差して、ソファーに来るよう呼びかける。
MJ:ソニーの…モリッシュだ…ぼくよりよっぽど話が上手だよ。
モリッシュが来てソファーに腰掛ける。
MJ:…でマルセル・アヴラム…
この時点でマルセルは脱税で逮捕されていたが、今日のために特別に出席している。
マイケルはマルセルにソファーに来るよう合図をしたが、マルセルは来たくない様子。
JM:今夜は…とても意味のあるものになると思うよ。マイケルってホントにスゴイことをしていると思うんだ。彼はいつも、自分自身を捧げているんだよ。韓国、ミュンヘンでショーをする理由を知ってるかな?
マイケルは、ソファーのはじにかけてあったツリガネソウを手にとる。ファンが叫び始める。
JM:僕たち全員が第二次世界大戦の悲劇を思い出さなきゃいけない。多くの国が引き裂かれたよね。ドイツは10年前に統合したばっかりで、だからマイケルはこの地でショーをしたかったんだよ。なぜソウルを選んだかっていえば…これはとても重要なことだけど、マイケルは北と南(北朝鮮と韓国)へメッセージを送ろうとしているんだ。再びひとつになれるように。この二つのショーはマイケルにとっても、彼の友達にとっても大きな意味があるものなんだ。トーマスが言っていたようにね。
TG:素晴らしいよ!どうもありがとう!マイケルを代弁してくれたみたいだね。本当にありがとう。(マイケルと握手を交わし)喜ぶべきこと、感嘆すべきことだね。ありがとう!僕たちはここに…マイケル、「Wetten, dass…」を覚えている?僕たちと一緒にいた時のことを覚えているかい?あのとき「Wetten, dass…」を歌ってくれたと思うんだけど…
「アースソング」のパフォーマンスが映し出され、マイケルは音楽にあわせてかすかに踊る。その後左側にいるファンの方へ行く。
MJ:ハロー。Oh...ウェイン…ウェイン(人名)、あれをとってきてよ…あれが欲しい…ねえ…あれ…あれだってば。(あるバナーを指差す)
トーマスはマイケルを出口の方へ導こうとしているが、マイケルはまだ去りたくない様子。彼はまだ、ファンとバナーを見続けている。
TG:今日はどうもありがとう。
マイケルはさらにまた戻ってきて、先ほど指差したバナーをもらう。テディ・レイキスと他二人がマイケルにバナーを手渡す。マイケルはファンに手を振り、バナーを指差してトーマスに見せる。
MJ:すごくかわいいな!
TG:
Oh そうだね、マイケル。ありがとう。じゃあね。
.マイケルはバナーを抱えて退場。トーマスは明らかに疲れた様子で椅子に座る。