TV:(インヴィンシブルからの)最初のショート・フィルム「ユー・ロック・マイ・ワールド」はおよそ15分くらいのものですが、どうしてギャングなんかをテーマに?
MJ:分からないよ。思いつきなんだ。キューバでの熱帯夜にね。クラブってそういう感じでしょ。ただMTVが長いバージョン(のショートフィルム)を放送してくれるとよかったんだけどな。短いバージョンは全然気にいらないね。あんまりエンターテイメント性がないんだよ。
TV:ショートフィルムの制作プロセスにはどの程度、関わっていたの?
MJ:マイケル・ジャクソンという名前を聞くとき、大抵はエンターテイナーだって思っているよね。僕が曲を書いているっていう事実を知らないんじゃないかな。別に自慢するつもりはないんだけど、でも僕は作曲だってしているんだ。(フィルムの)監督だってやってる。こういうことって(若いアーティスト達は)知っているとは思えないけど。でもすごくインスパイァされることではあるよね。
TV:あなたがこのフィルムをつくった時、「スリラーを超えなくちゃいけない」なんて思った?
MJ:思わない。そう思う暇さえないんだから。よりいいものができるってことは分かってるんだ。
TV:あなたは子ども達にMTVとか見せるの?
MJ:ある年齢になったらね。今じゃないよ。15歳か16歳くらいになってからじゃないと。
TV:テレビはよく見るの?
MJ:PBSなんか好きだよ。ディスカバリー・チャンネルとか、シンプソンズもだ。セサミストリートも好きだな。何時間だって見ていられるよ。中でも気に入っているのは「Malcolm in
the Middle」かな。小さかった頃を思い出すんだ。
TV:どの登場人物に共感するの?
MJ:マルコムだよ。彼は社会になじもうとするんだけど、出来ないんだ。E.T.とかバンビみたいにね。周りの人々の考え方に共感できないんだよ。僕もよくそう思う時がある。舞台から降りているときなんか、すごくみじめに感じる。ここは僕のいるべき場所じゃない、そう思ってしまうんだ。
TV:あなたの子ども達のどっちがよくあなたに似ている?
MJ:二人ともだよ。それぞれにね。プリンスは本当にやんちゃな子なんだ。髪の毛をひっぱってやらないとダメなくらいにね。僕も昔はよく、姉さんをからかっていたものだよ。
TV:パリスは?
MJ:彼女はタフな子だよ。
TV:子ども達の母、デビー・ロウさんはどうしているの?
MJ:うまくやってるって聞いたよ。元気なんじゃないかな。パリスはデビーみたいに強い子なんだ。
TV: あなたの家計についてなんだけど、破産寸前だから高額のチケットを売っているっていうウワサがあるけど。
MJ:そんなのタブロイドのくだらないウワサだよ。でっちあげているんだ。新聞を売るためにいつも何か探しているんだよ。
TV:現在のこの世界の状況について、あなたは子ども達を憂えていますよね。テロが起こったとき、あなたはニューヨークにいたみたいですが?.
MJ:そう、国際電話でアメリカが攻撃されたって聞いたんだよ。「何言ってるんだ?」と答えたら、「テレビをつけてみろ」って言われたんだ。そこで見た光景は信じられなかったよ。僕は叫びながら廊下を走った。「みんな、はやく!起きて!ここを出なきゃダメだ!」みんな慌てて着替えて、僕たちは車で避難したんだ。
TV:この事件がきっかけとなってあなたは、犠牲者に捧げる曲「What More Can
I give」を作詞作曲し、オールスターのレコーディングが実現しましたよね。(レバ・マッキンタイヤー、セリーヌ・ディオン、ボーイズUメン、マライア・キャリー、リッキー・マーティン、グロリア・エステファン、アッシャーなどが参加している)
MJ: あの時の出来事を思い出すと本当に気分が悪いよ。テレビがこの事件を何回も放映しているからかどうか分からないけど、僕たちは恐れることから、憎んだり、怒ったりする方向へと向かってしまっているんだ。メディアはそれに対して本当に責任があると思うよ。
TV:あなたがこの歌の収益金について、ブッシュ大統領と話し合う予定だと聞いていますが?
MJ:もうブッシュ元米大統領と話し合ったんだ。大統領とももうすぐ電話で話す予定だよ。僕のことを誇りに思うっていってくれたんだ。国際的ヒーローなんだって。
TV:つまりあなたの使命って人々を救うこと?
MJ:いつもそう思ってきたよ。そう、思ってきた。この前のテロの前では取るに足らないことかもしれないけど。みんな団結して、こういう歌を見出そうとしているんだ。僕は自分の人生をかけて「Heal the
World」「We Are the
World」「Will You Be
There」「Man in the
Mirror」みたいなこの惑星、地球の歌を作ってきたんだよ。他の歌手でここまでやっている人がいるのか疑問だけど、とにかく僕は心を砕いてきたんだ。これからもそうしていくよ。そして僕には大きな夢がある。子ども達が両親との絆を深められる「Children's
Day(子どもの日)」をつくりたいと思ってるんだ。
TV:あなたの行くところへはどこでも、子ども達を連れてゆくの?
MJ:僕が行くところはどこでもね。
TV:子ども達が学校へ通い始めて、旅行する余裕がなくなったら?
MJ:僕は、(ネバーランド内の土地に)コンピュータの学校を作ろうと計画してるんだ。他の子ども達も通えるように。
TV:そうすると、オンラインで学校を卒業できるってことね。
MJ:そうなんだ。僕の子ども達がどうやって社会に出て行けると思う?プリンス・マイケル・ジャクソン、パリス・キャサリン・マイケル・ジャクソンという名前をもつものが、だよ?ムズカシイことだよね。
TV:あなたはどうして子ども達にそのような素晴らしい愛情を注げるの?
MJ:どうやったらそうできるか教えてあげようか?僕が子ども時代を経験していなかったからなんだ。だから子ども達が痛みを感じる時、僕もその痛みが分かるし、子ども達が絶望の底にいる時も、僕にはその気持ちがよく分かる。今の子ども達を見てると、ひどい状況にいる彼らが本当に心配なんだ。いつか子ども達が両親との絆を結び直せる日がきたら、この状況は変わるかもしれないよね。だからもし父さんとの絆を確かめ合う日が来たとしたら、これまでの関係が変わっていたかもしれない。いつかの話だけど。
TV:父親との関係は実際のところ、どうだった?
MJ:今の方が良いと思うよ。今の方が好きだな。孫を持つと人ってやさしくなれるものなんだね。いまじゃ、30何人も孫がいるんだよ。
TV:コンサートの特番について、父親はどう思っているの?コンサートには来たの?
MJ:来たよ。でも父さんは・・・素晴らしいショーだったなんて思ったって、「いいショーだったね」とか、「今日はよくやったよ」なんて言わないんだよ。そのまま出て行っちゃうんだ。つまりどうやって愛情を見せたらいいのか分からないんだね。(マイケルはプリンスに目をやる。プリンスは、ゴムのボールを鼻につけてはしゃぎまわったり、おしゃべりしながらレポーターの頬をつついている)
MJ:(やさしく)プリンス、しーっ!静かにしてるって約束しただろう?忘れたの?
TV:あなたの人生において、他にやりたいと思うことは?
MJ:映画が好きなんだ。監督をやってみたいし、俳優だってやってみたい。この世で一番芸術的な表現がうまく出せるのって映画だと思うんだ。ライザ・ミネリと映画をつくりたいんだよ。今二人で計画中なんだ。成功を夢見るエンターテイナーがいろんなことに格闘する話で、どこにいっても断られるんだけど、でもダンスがすごくうまいんだよ。作り話って訳じゃない。だって僕はこの世界を見てきたし、ここで感じてきたからね。(といってマイケルは自分の左胸を指差す。プリンスが部屋の反対側からよちよちと歩いてきて、マイケルの足元に座る。そのうちパリスがマイケルのひざの上にのってきて、丸くなる。マイケルは彼女の頭をなでている)
TV:父親としてのマイケル・ジャクソンのイメージって、今まで語られてこなかった面もありますけど、あなたはいい父親ですか?
MJ:そうなろうと努力しているよ。楽しんでもらいたいんだ。僕は一年に一回、ピエロの格好をするんだよ。鼻からペイントまでちゃんと扮装してね。それで、子ども達にキャンディとかクッキーをあげるんだ。
PRINCE: (笑いながら)それとアイスクリームもね!
MJ:そう、それとアイスクリームもだ!