TV:この特別番組はあなたの長いキャリアをたたえるものです。初めてステージに立ったときのことを覚えている?

MJ:5歳だったかな。学校でリサイタルがあったときのことだよ。白いシャツと短いニッカーボッカーを着て、こう紹介されたのを覚えてる。「リトル・マイケル・ジャクソンが“全ての山に登れ”を歌います」盛大な拍手だったよ。僕が自分の席に戻ると、祖父も祖母も泣いてた。そして「お前の声はなんと美しく聞こえることだろう!」といったんだ。僕にとってはこれが最初だね。

TV:テレビの特番に出演するのは、珍しいのでは?

MJ:あまりテレビには出たくないからね、ほとんど断ってきたんだ。気まずいし。だから何かパフォーマンスをしても、1,2年たってからじゃないと見ないよ。自分の行動にがっかりしちゃうんだ。

TV:この番組のために撮影したコンサートではビッグ・アーティストもいたし、素晴らしかったですよ?

MJ:2番目の(テイク)は良かったね。1番目にやったのは技術的にも最低だったけど。動きと動きの間に、何回も間があって途切れがちだったんだ。ホントに難しいよ。オーディエンスも待って、待って、待ち続けてるしね。

TV:ステージで踊るときって、どんな気持ち?

MJ:僕はリズムのとりこなんだ。. どんなものも受け入れることだ出来るパレットなんだよ。そしてただ成り行きに任せるんだ。感じたとおりにやらないといけない。考えごとなんかしてたら絶対だめなんだ。踊るってことは考えてできるものじゃないんだ。フィーリングなんだよ。

TV:踊る時、ステップも考えてるの?

MJ:兄さん達と踊る時なんかは考えることもあるよ。でも一人のときは即興だね。あらかじめ考えたりなんかしないよ、絶対にね。最近のダンススクールでは、踊るのにカウントを取り入れたりなんかもしてるけど、そういうのって間違ってる。

TV:最近のポップ・グループ、インシンクなんてどう思う?真似されてると思う?

MJ:いや、いいシンガー達だと思うよ。彼らのことはよく知ってるしね。よく一緒に話したり、遊んだりもするよ。まねされることは別に構わない。むしろ光栄に思ってるんだ。みんな、誰かを尊敬することで何かをはじめるんだよ。僕にとっては、ジェームズ・ブラウン、サミー・デイビスJr、ジャッキー・ウィルソン、フレッド・アステア、ジーン・ケリーがそうだったんだ。

TV:この特番にマーロン・ブランドも出演していたけど、どうやって彼に決まったの?

MJ:ブランドは20年来のいい友達だよ。いつも僕の家に来ては子ども達と遊ぶんだよ。ブランドも孫たちともよく遊ぶんだ。映画を見たりなんかしてね。

TV:他にどんな人と遊んだりするの?

MJ:エリザベス(テイラー)、ブランド、グレゴリー・ぺック、みんな親友だ。僕より年上か、年下の人たちが多いんだけどね。同じ年の人とはほとんどコンタクトをとらないかな。これって僕が5歳の時からクラブなどで踊っていたからだと思うんだ。酔ってたり、喧嘩してたり、ホントに腹立たしいよ。もし今だれかに「クラブにいこうよ」なんて言われたって、「まさか」って感じだね。サインしたり、写真をとられたり、そんなの僕にとってはパーティなんかじゃないよ。

TV:ターバンのグリーンレストランであったコンサートのあとのパーティの話って本当?

MJ:言われているよりももっとヒドかったよ。息さえできなかったんだ、みんな…

TV:で、気を失ったっていう?

MJ:それはただのウワサだよ。それはマスコミが煽っているだけなんだ。いつものことだよ。僕に対してそうするのが好きなんだ。

TV:実際にはどうなったの?

MJ:何も。気を失ったりなんかしてないし、そんな風に感じたこともなかったよ。マスコミってしつこいし、本当に嫌だよ。(コーヒーテーブルのそばをスキップしていたパリスにむかってやさしく)パリス、音を立てちゃだめだよ。だめだって。ほら、テーブルをたたかないで。撮影中なんだから。

TV:ライザ・ミネリとも何回かコンサートをやったようだけど、親しいの?

MJ:ライザとは毎週、話すよ。僕たちは同じ惑星から来たんだ。エリザベスと同じようにね。

TV:惑星ってどんな?

MJ:宇宙のかなたにある山羊座の変光星(笑)。うーん、説明できないな。太陽系のはるか先にあると思うんだ。本当だよ。まじめに聞いてね。子どもの時からスターだって人たちは何か通じ合うものがあるんだよ。キュートだったらみんなに喜ばれるけど、なにか失態を犯したらそっぽを向かれる。大人になってもスターでいられるっていう人は少ない。大抵は自滅していくんだよ。悲しいよね。

TV:あなたがそうならずにすむ理由は?

MJ:僕の場合は宗教だね。

TV:あなたはまだエホバの証人なの?

MJ:そう。訪問もやってきたしね。一ヶ月に90時間はやったかな。今は忙しくてやってる暇なんてないけど。戸口から戸口へ、だぶだぶのスーツに、分厚いメガネをかけて、ひげとかそり上がった歯なんかつけてね。アフロヘアーになんかもしてたよ。それで、ドアをノックしてこういうんだ。僕たちはエホバの証人ですってね。

TV: この特番はあなたの7枚目のアルバム、インヴィンシブルの発売と平行していますが、これはあなたにとってカムバックであるといえる?

MJ:カムバックなんかじゃないよ。4年ごとにアルバムを作ってきたんだ。ただ今までは、書いている間にいたってことだよ。

TV:このアルバムではウィル・スミスとか、ジェイ‐Zなどのラップシンガーも参加していますよね。あなたの音楽と比べると少し荒っぽいような人たちとアルバムを制作するなんて信じられないくらいだけど?

MJ:イイ人たちだよ。次の日、彼らが何かをやらかしたってばかみたいな話を聞くけど、信じられないよ。みんな親切だし、本当に紳士的だよ。

TV:アルバムの一番目の歌、「アンブレイカブル」のメッセージって?

MJ:僕がインヴィンシブル(無敵)だってことだよ。今までだってずっとそう。僕を傷つけることなんて出来やしない。僕をやっつけたなんて思ったって、僕は再び立ち上がるんだ。(コーヒーテーブルの上のスナップル・レモネード(のグラス)をたたきはじめたプリンスに)音を立ててるの、分かってるでしょ?静かにしなさい、いい子だ。

TV:あなたはエキセントリックだなんて言われているけど、ライトの下で成長してきたことが影響しているの?

MJ:(はにかむように笑う)あなたのいうエキセントリックにはいろんな意味があると思うけど?

TV:あなたのことを Wacko Jacko(奇妙なやつ)なんていう人もいるみたい。

MJ:それはありがたくないことだね。本当はうらやんでいるんだよ。何かをしているわけじゃないんだ。ただ、大きなおもちゃの袋を持って病院とか孤児院に行くだけだよ。何千ドルってつかうんだ。wacko って、どういうこと?

TV:マスコミの報道するあなたを見て、「彼っておかしいんじゃない?」と思っているひともいるけど。

MJ:(怒りながら)オプラでだって、ダイアン・ソーヤーでだってみんな、本当の僕を見ているはずだよ。マスコミは嫉妬してるんだ。でも僕は負けないつもりだよ。

TV:どうやって?

MJ:ポジティヴな力にしてしまうんだ。そういうことを歌にしたり、踊ったりして僕の動きにしたり、顔の表情にしたりするんだよ。そうすることでそれは僕の一部になり、創造力の一部になるんだ。そうして負けないようにするんだ。もし負けたら、それこそおかしくなっちゃうからね。

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TV:TVガイドインタビュアー
MJ:マイケル・ジャクソン
TV Guide Interview #1
2000/11/5