ファレル・ウィリアムズとの電話でのインタビューが、「インタビュー」誌(米)8月号に掲載された。

MJ:マイケル PW:ファレル・ウィリアムズ


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MJ:ハロー?

PW:ハロー!調子はどうだい?

MJ:昨日亡くなったグレゴリー・ぺックは、僕にとって大切な友達だったんだ。葬儀の準備とかいろいろと彼の奥さんを手伝っていたものだから。電話(インタビュー)も遅れてしまってごめんね。

PW:そんなことはいいよ。でもさ、今こうして君と話しているって信じられないよ。

MJ:神のご加護を、だね。

PW:ありがとう。君にもね。

MJ:ありがとう。えと、僕がインタビューして良いんだっけ?7つくらい質問があると思ったんだけど。

PW:いいよ。お好きなように。

MJ:オーケー。自分の音楽でインスピレーションを受けることってある?音楽を作るときって、どんなものからインスピレーションを受けたりするの?

PW:フィーリングだね。キャンバスがあるかのように、雰囲気を扱うっていうことだと思うよ。僕の指から生まれるのはコード、つまり絵、だ。だからプレイしている時は、フィーリングを描いているっていう感じかな。こんなの、かっこつけているだけだって思われるかもしれないけど、でも…

MJ:ノー、ノー、そうあるべきなんだよ。

PW:そんな風になったら、それに委ねるんだ。絵を描くこと、彫刻しているっていうことに似てるね。いったん身を委ねたら、いつかそれが終わるってことも知ってる。完璧にね。それが、僕にこんな風に言うこともある「ヘイ、終わったよ」なんてね。

MJ:そうなんだ。そうしてそれは、終わるまで僕たちを寝かせてはくれないんだよね。

PW:そう。

MJ:う〜ん、僕も同じような経験をしてるよ(笑う)。それから今日の音楽について、どう思うかい?今つくられつつあるサウンドや、音楽が向かっている方向について詳しかったりするんだっけ?

PW:えーと、個人的には、君自身や、スティーヴィー・ワンダー、ドニー・ハサウェイのような、これだ、というフィーリングに合った人たちに注目しているよ。

MJ:そうなんだ。

PW:だってそうだよね。みんながひとつのものに走ったら、それこそ「壁から離れ(オフ・ザ・ウォール)」なきゃいけないことになるよ。

MJ:そうだね(笑う)

PW:で、みんなが別々の方向に走るようになったら、「スリラー」になるわけなんだ。自分のペースでやらないとね。だから僕は君のような人に注目していきたい。君のフィーリングを聞いたり、情熱や野望を具体的に表現すること、そういうことを怖がっちゃいけないんだ。本来はそうあるべきで、そう表現すべきなんだ。

MJ:ビューティフル。ラブリーな考え方だよ。言い得て妙だね。それからもうひとつ質問したいんだけど、僕が感じているように、君は命を産み落としているというか、妊娠しているっていう風に感じたことある?歌をかくってことは、子どもができるってことなんだ。歌ができあがるっていうことは、子どもを世の中に送り出すことになるんだよね。今までにそんな風に感じたことある?送り出すのは辛いな、とか。

PW:そうなんだよ。この前、ビデオを流すのでインタビューをしたことがあったんだけど、そう、僕はそのとき怖かった。たかがビデオで、と思われるかもしれないけど、僕にとってそれは、視覚化した歌と同じようなものだからね。だから、そのときは全く君のように感じていたよ。もし僕が何かを演奏して、みんなに受け入れられてもらえなかったら、それは自分の子どもが何かをやってしまって、周りから指を指されている中、「待って!この子は僕の子だ!」って叫ぶのに似ているよ。僕は父親になってはいないけど、そう感じているんだ。少なくとも自分の歌に関してはね。

MJ:そうだね。それから、色んな音楽の形態、ポピュラー・カルチャー、黒人がもたらしたものも多い。ジャズ、ポップス、ロックンロール、ヒップホップとか。こういう音楽全般についてはどう思う?神から与えられたものだと?

PW:音楽は全て、神様の贈り物だよ。で、(ファンが遮る)マイケル、ちょっと待ってもらえるかな?(数分、ファンに話すウィリアムズ)ごめん。

MJ:(笑う)ブルースとかロックンロールとか。ロックンロールとか色んな形態のポピュラーミュージックって、チャック・ベリーとか、リトル・リチャード、ファッツ・ドミノたちによってできたものなんだよ。

PW:そうだよね。

MJ:ケイクウォーク、チャールストン、ポッピング、ブレークダンス、ロッキングみたいなダンスもそうだよ。神様からの贈り物だと思わないかい?

PW:全くその通りだよね。こうやって表現する手段と一緒に、くれた贈り物なんだ。つまり、詩を書くっていうことは、誰か、世界の誰かに向かって書くっていうことだし、演奏するってことは、世界の誰かが聞いてくれるように演奏するんだ。ダンスをすることは、見てもらいたいからするんだよね。表現の手段ってことなんだ。ときどき、自分の表現が内向的になっちゃうこともあるからね。自分ひとりで踊ったり、詩を書いたり、演奏していると、自分がどんな風に見られているのか、聞かれているのか、思われているのか、分からなくなっちゃうんだ。人が何か言ってくれたり、録音したものをききかえすとかしない限りはね。

MJ:うん。それと、今流行りのっていうんじゃなくて、もっと世代が上のアーティストでいうと、小さい時はどんなアーティストに影響を受けたの?父親が好きだったアーティストとかで言えばさ。そしてそういうアーティストから学んだことは?

PW:それはなんといっても、「アイズレー・ブラザーズ」だね。

MJ:うん、僕もだ。「アイズレー・ブラザーズ」は好きだね。それからスライ&ザ・ファミリーストーンなんかも。

PW:ドニー・ハサウェイや、スティーヴィー・ワンダー…

MJ:僕が好きなアーティストは君も好きって感じだね(笑う)

PW:コードが色々とかわっていてね。のめりこんでしまうよ。

MJ:素敵、素敵だな。オーケー、ところで今、君はどこにいるの?ニューヨーク?

PW:ヴァージニア・ビーチ。ヴァージニアですよ、あなた。

MJ:ヴァージニア!あぁ、いいな!僕の愛をヴァージニアに伝えてくれるかい?

PW:分かったよ。ありがとう。

MJ:で、君の母や、ご両親は?だって、君には神様が素晴らしい贈り物をお与えになっているからね。

PW:それは光栄ですよ。それと、僕は言わなくちゃいけないことがあるんだけど。君が聞きたいかどうかはまた別にして、ずっと心の中にあったことを言わなくっちゃと思ってる。色んな人が、色んなことを言っているけど…

MJ:うん。

PW:みんな君を愛しているんだ。なぜかって聞かれればそれが理由なんだよ。みんながどうしても理解できないと思うことを君がやると、他の誰よりも君のことが大問題されがちになってしまう。だって君はこの世の中で誰よりも恵まれた才能を持っているからね。君は、成功し、今世紀で一番有名な人間なんだから。

MJ:ええと、どうもありがとう。君は思いやりがあるよ。

PW:君がやっていることは驚くべきことだよ。君が100歳になったとしても、君がこうやった、ああやったって、騒がれると思うよ。誓うよ。もし君が自分の身体をクロムか何かにつけておくなんて決めたら、世界中の人間が君を見ようとやってくるに違いないよ。君も驚いたりしてね。それというのも、君が音楽業界で成功し、人々の心を奪っているからなんだ。

MJ:ありがとう。有名になればなるほど、ターゲットにもされやすいんだね。君が、ね、僕は驕っているわけでは決してないんだけど、トップに立つと同時に、非難されるようになる。イエス・キリストだって殉教したよね。マハトマ・ガンジーや、マーティン・ルーサー・キング、イエス・キリスト、それに僕なんかは、世界に光をもたらした。僕のモットーは「ヒール・ザ・ワールド」「ウィー・アー・ザ・ワールド」「アースソング」「セイブ・アワ・チルドレン」「ヘルプ・アワ・プラネット」なんだ。そういうことについて僕を叩こうとする人がいる。でもファンたちの結束は強くなっているからね。そんなことでは僕は倒れないよ。すぐに立ち上がるんだ。サイの皮膚のように、誰も僕を傷つけることなんてできないよ。誰もね。

PW:そう、僕が言いたかったのはそこなんだ。僕はただ、君が驚くべき人間だってことを知ってもらいたかったんだよ。「ビリー・ジーン」に始まって、「ザッツ・ワッツ・ユー・ゲット(フォー・ビーイング・ポライト)」で君のやってきたことをね。(「ザッツ・ワッツ・ユー・ゲット・フォー・ビーイング・ポライト…」と歌いだす)

MJ:えっ、それ知ってるの?(笑う)

PW:(「ジャック・スティル・シッツ・オール・アローン…」と続きを歌う)

MJ:うわぁ、何でも知ってるって感じだね。

PW:君は世界へむけて、それをやってきたんだ。(歌い続ける)

MJ:(ギターの伴奏をつける)

PW:もし君と一緒に働いたことがなかったら、君という人間が「unstoppable(誰にもとめられない)」という位しか知り得なかったよ。だから、君が100歳になってクロム溶液に自分の身体をつけようとすれば、人々は何か言うに違いないだろうってさっきも言ったんだ。でも誰が何を言おうと、僕は気にはしないよ。みんな、君を見に来ようとするけどね。

MJ:そこにあるのは嫉妬だけなんだ。僕は人種に関係なく、みんな愛しているよ。でもときどき人々の中に邪悪な心が生まれる。そして嫉妬するんだ。いつの世にも努力という域を超えた輝ける人が存在するけど、ある人々は嫉妬深くなって、どうにか彼を引きずりおろそうとするんだよ。でも僕にやろうとしてもそうはいかないんだけどね。僕はとても、とても、とても強いから(笑う)知らない人もいるけど。

PW:知ってるさ!誓って、みんな知ってるって!

MJ:もし他の人間だったら、やられているところだろうけど、僕はそうはいかないよ。僕は強いんだ。

PW:もちろんだよ。君が10歳の時も、誰も君を倒せなかったと思うよ。君の声、才能で相手を打ち負かしていたんだから。君が20歳になると、それから20年、30年と人々を凌駕し続けるようになるんだ。で、今日に至っても、まだ君を見ていたいんだよ。君の子どもが見たい、君の世界観が知りたいってね。君は素晴らしい人間だよ。僕はただ、それをしってもらいたかっただけなんだ。それに、今言っていることが全部、活字にされるといいな。僕にとっては意味深いものだから。いつか、今の君のような存在の半分でもいいから、なれたらって思うよ。

MJ:神のお恵みを。君だって素晴らしい人間だよ。どうもありがとう。

PW:ありがとう。

MJ:素敵な一日になるといいね。

PW:あなたも、ですよ。

MJ:ありがとう、Bye

PW:Bye

 

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source:JACKSON DAILYNEWS >> http://www.jacksondailynews.net/latestnews.shtml/
2003/07